2012/7/11(水)
The Bilingual Advantage
http://www.nytimes.com/2011/05/31/science/31conversation.html?hpw
さて、今日のテーマは、外国語を習得することのメリットです。まず真っ先に思い浮かぶのが、自分の価値観が広がる、国際舞台で活躍するチャンスが生まれる、といったとこでしょうか。
今回は少し視点を変えて、脳科学的な観点で見ていきましょう。長きにわたり、研究者や知識人の間では第2言語の習得は、(特に幼年期において)考える力や語彙力の発達に障害になると考えられてきました。しかし最近では、バイリンガルであることが脳に与えるプラスの影響が次々明らかにされ、いわゆるパラダイムシフトが起きています。
2つ(以上)の言語を日常的に使用していると、脳のExecutive control systemという特定の部位の働きが活発になると、40年以上に渡ってバイリンガル脳の影響について研究してきた認知神経科学者のEllen Bialystok氏は述べています。ただ、残念ながら大学の授業で取った第2外国語等、限定的な機会でのみ外国語を使うのでは意味はないそうです。
その上でバイリンガル脳の恩恵は大きく分けて以下の3点。
1.マルチタスクの扱いが上手くなる。
2.認知症になりにくくなる。
3.異文化へのコネクションが深まる。
頭の中で2つの言語を繰り返し切り替えて使用いく中で脳にプレッシャーが加わり、必然的に物事を並行して処理する能力、すなわちマルチタスクの向上に繋がるようです。また、バイリンガルはモノリンガルに比べてアルツハイマー症の発症がおよそ4~5年遅いとの研究も、同氏によって明らかになっています。子供の頃からバイリンガル脳が鍛えられる環境にいる方が効果が高いものの、中高年から習得を始めても、ある程度予防の効果は見られるようです。そういった抵抗力が強いのも、知的な部分で発達が見られるためなのでしょうか?もしくはなんらかの脳の構成成分に影響を与えているのか、今後更なる研究の成果が期待されます。また、個人的に大事だと思うのが3点目です。日本にいると、海外のニュースをはじめ様々な情報が日本語で簡単に手に入ってしまいます。テレビも日本のテレビ番組一辺倒。普通に暮らしていては日本語以外で海外の情報に触れる機会はまずありません。日本語という包装で包まれていない、リアルな異文化、考え方に直に触れ、理解できる機会を得ることも大きなメリットであると言えます。
以上、バイリンガルであることは、出世や海外勤務等キャリア的な側面を除いても、脳科学的に非常に有益であることがわかっていただけたのではないでしょうか。語学習得の一つのモチベーションとして捉えてみても良いかもしれません。留学は、その国の言語に常に触れ、バイリンガルになるための大きなステップとなるでしょう。
<今日の単語>
hacer cola- 列に並ぶ
manjar- ご馳走
aceite- 油
ティアトゥラスペイン語学校ホームページ(日本語)
http://supein-supeingo.blogspot.com.es/
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